この記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
「今日も疲れたから、寝る前にちょっとだけ飲もう」
そう思って、寝酒を楽しんでいるあなた。
「寝る前に飲むと、すぐ眠れるから助かるんだよね」
そうかもしれません。
実際、アルコールには睡眠導入効果があり、寝つきを良くする効果が期待できます。
しかし、寝酒は本当にあなたの睡眠の質を上げているのでしょうか?
実は、寝酒は睡眠の質を大きく下げる可能性があるのです。
今回は、アルコールと睡眠の関係について詳しく解説するとともに、寝酒が睡眠に与える影響について解説します。
この記事を読めば、寝酒をやめるべきかどうか、ご自身で判断できるはずです。
ぜひ最後まで読んで、あなたの睡眠を見直してみてください。
睡眠不足大国ニッポン!睡眠不足が与える影響

日本は睡眠不足大国と言われています。OECD(経済協力開発機構)の2021年版調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分であり、調査対象33カ国の中でも特に短いことが分かっています。
また、厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は、男性で37.5%、女性40.6%という結果が出ています。
このデータからも、日本人が総じて「寝不足気味」ということがお分かりになるのではないでしょうか。
ここでは、睡眠不足が我々に与える影響について考えます。
集中力・記憶力の低下
睡眠不足は、脳の機能を低下させ、集中力や記憶力の低下を引き起こします。
- 集中力の低下:会議中や授業中にぼーっとして集中できず、話の内容が頭に入ってこない。
- 記憶力の低下:新しいことを覚えられない、思い出せない。
- 判断力の低下:正しい判断が鈍り、ミスが増える。
- 作業効率の低下:仕事や勉強の効率が落ち、時間がかかる。
仕事や勉強のパフォーマンスが落ちるだけでなく、ミスや事故のリスクも高まります。
体調不良
睡眠不足は、免疫力を低下させ、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
- 免疫力の低下:風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい。
- 自律神経の乱れ:便秘や下痢、吐き気などの消化器系の不調、動悸や息切れなどの循環器系の不調、めまいや耳鳴りなどの神経系の不調が現れる。
- ホルモンバランスの乱れ:食欲不振や体重増加、肌荒れ、生理不順などが起こる。
- 生活習慣病のリスク:高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まる。
精神的な不調
睡眠不足は、イライラや不安感などの精神的な不調を引き起こします。
- 気分の落ち込み:気分が沈み、やる気が出ない。
- イライラ:些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなったりする。
- 不安感:漠然とした不安を感じたり、心配事が増えたりする。
- うつ病などの精神疾患のリスク:うつ病などの精神疾患のリスクが高まる。
このように、睡眠不足は私たちの心身に様々な悪影響を与えるのです。
睡眠不足は、健康な生活を送る上で大きな障害となります。また、睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることも重要です。
寝酒は本当に睡眠に良いのか?

アルコールは、少量であれば睡眠に良い影響を与える可能性があります。それは、主に次のようなものです。
リラックス効果
アルコールには、中枢神経を抑制する作用があり、リラックス効果をもたらします。
特に、気持ちが高ぶってなかなか寝付けない夜などには、緊張や不安を和らげ、寝つきを良くする効果も期待できるでしょう。
入眠促進効果
アルコールは、入眠を促す効果があります。そのため、寝る前に少量のお酒を飲むことで、スムーズな入眠が期待できます。
ただし、これらの効果はあくまで一時的なものであり、過剰な摂取はかえって睡眠の質を低下させる原因になりかねません。
次章では、改めてアルコールが睡眠に与える負の影響について考えていきましょう。
アルコールが睡眠に与える影響

アルコールは、確かに少量であれば睡眠に良い影響を与える可能性があります。しかし、一方で、睡眠の質を大きく下げる原因にもなります。
睡眠段階への影響
睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があります。
アルコールは、入眠直後は深い眠りのノンレム睡眠を促進しますが、その後はレム睡眠を抑制する働きがあります。
そのため、寝酒をすると、睡眠後半は浅い眠りが続き、熟睡感が得られにくくなるのです。
中途覚醒
アルコールは、睡眠中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」の原因にもなります。
アルコールは、利尿作用を促進するため、夜中にトイレに起きやすくなります。
また、アルコールが分解される過程で、覚醒作用のある物質が生成されることも、中途覚醒の原因となります。
呼吸への影響
アルコールは、呼吸を抑制する作用があります。
そのため、睡眠時無呼吸症候群の人は、寝酒をすると呼吸が止まりやすくなることがあります。
依存性
アルコールには依存性があります。
寝酒を毎日続けていると、アルコールがないと眠れなくなり、量が増えていく可能性があります。
アルコール依存症になると、健康に様々な悪影響が出てしまいます。
その他の影響
その他にも、アルコールは睡眠や体に大きく悪影響を与えます。
例えば、アルコールは肝臓で分解されますが、その過程で肝臓に負担がかかります。また、アルコールには利尿作用があるため、脱水症状を引き起こすことも少なくありません。
さらに、寝酒をすると、翌日に頭痛や吐き気、だるさなどが残ることがあり、体調不良の原因となることもあるでしょう。
このように、アルコールは睡眠に様々な悪影響を与えるため、やはり結論としては「寝酒は控えるべき」というのが質の良い睡眠のためには正解なのです。
寝酒以外の睡眠導入方法|睡眠環境の整備とおすすめ飲料

「どうしても寝付けない」
そんな時は、寝酒に頼るのではなく、他の方法で睡眠を導入することを試してみましょう。
まずは、快適に眠れる睡眠環境を整えることが重要です。
温度
寝室の温度は、夏は涼しく、冬は暖かく保ちましょう。一般的に、快適な睡眠温度は18~25℃程度と言われています。
温度が高すぎたり低すぎたりすると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
エアコンや暖房器具を上手に利用して、快適な温度を保ちましょう。
照明
寝室の照明は、できるだけ暗くしましょう。
明るい光は、脳を覚醒させる働きがあるため、睡眠を妨げる原因になります。豆電球や間接照明など、柔らかな光を利用するのがおすすめです。
また、寝る1時間前からはスマートフォンやパソコンなどの画面を見るのを避け、ブルーライトを浴びないようにすることも大切です。
なお、快適な睡眠環境の作り方についてさらに詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。

運動
寝る前に激しい運動をするのは避けましょう。激しい運動は、交感神経を興奮させ、寝つきを悪くする原因になります。
運動をする場合は、寝る3時間前までに軽い運動にとどめましょう。
睡眠前に飲むと良い飲み物
アルコール摂取と対を成す存在として、睡眠前に飲むと良い飲料も存在します。これらを活用することで、より質の高い睡眠を得られるでしょう。
ホットミルク
ホットミルクには、トリプトファンというアミノ酸が含まれており、これが睡眠を促すメラトニンというホルモンの生成を助けると言われています。
また、温かいミルクはリラックス効果もあり、寝つきを良くする効果が期待できます。
カモミールティー
カモミールティーには、リラックス効果のあるアピゲニンという成分が含まれています。
また、カフェインが含まれていないため、寝る前に飲んでも安心です。
その他
その他にも、ハーブティー(ノンカフェイン)、白湯、ココアなども睡眠前に飲むと良いと言われています。
なお、寝る前に飲むと良い飲み物についてさらに詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。

まとめ:寝酒は百害あって一利なし
今回は、アルコールと睡眠の関係について解説しました。
寝酒は、寝つきを良くする効果がある一方で、睡眠の質を大きく下げる原因にもなります。中途覚醒や依存症のリスクも高まるため、やはり「寝酒は控えるべき」と言えるでしょう.
睡眠不足は、集中力低下、体調不良、精神的な不調など、様々な悪影響を及ぼします。
睡眠不足を解消するためには、寝酒に頼るのではなく、睡眠環境を整えたり、生活習慣を改善したりすることが大切です。
とはいえ、お酒をまったく飲むなというわけではありません。
お酒は、適量であればストレス解消やリラックス効果も期待できます。
好きなものをやめる必要はありませんが、以下の点に注意することで、睡眠への影響を最小限に抑えることができます。
- 飲酒量を減らす:厚生労働省は、1日の純アルコール摂取量として、男性は40g、女性は20gを推奨しています。
- 寝る3時間前までに飲む:アルコールが分解され、睡眠に影響が出にくくなるまでには、ある程度の時間が必要です。
- 毎日飲まない:休肝日を設けることで、アルコール依存症のリスクを減らすことができます。
これらの点に注意しながら、お酒と付き合っていくようにしましょう。
それでも改善が見られない場合は、専門家に相談しましょう。
質の高い睡眠は、健康な生活を送る上で非常に重要です。睡眠を見直し、健康的な生活を手に入れましょう。
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